四季折々の花も楽しめる、角田山のふもとの潟
上堰潟うわせきがた
潟の概要
角田山のふもと近くにあり、昔は農業のかんがい用水源・降雨時の調整池として利用されていました。干拓が計画されていた潟でありましたが、1967(昭和42)年、減反政策が始まった関係で干拓は中止となりました。その後、昭和50 年代にかけて行われた土地改良事業により潟周辺の用排水路が発達しました。かんがい用水源として使われなくなったことと排水路による地下水位の低下、水の出入りがなくなったことにより、潟が陸化していきました。
しかし、1993(平成5)年から1997(平成9)年度の5 か年計画で周辺環境の整備、陸化した潟の掘削が行われ、1998(平成10)年度には復元された潟を中心に上堰潟公園が開園しました。
現在でも、潟には周辺水田の排水が入り込み、豪雨時には上堰潟は調整池となります。それらの水は西山川~広通川~新川を通じて排水され、上堰潟は海と直接つながる潟となっています。
上堰潟の動植物
干拓により、一時水生動物の生息が途絶えましたが、周辺の水田地帯や西川用水を通じて様々な種類が戻ってきています。現地調査と聞き取り情報により、18 種の魚類が確認されました。新川-広通川を通じて、潟の直下までサケの遡上が見られます。
上堰潟で確認される鳥類は、佐潟の鳥類相と似ていますが、日中は常に来園者があるため、ハクチョウ類、ガン類による潟水面への着水はほとんどみられません。約80 種の鳥類が確認されており、野鳥の休憩地、採餌地として重要な場所となっています。
≪参考≫
平成27年度新潟市潟環境研究所研究成果報告書より
上堰潟の魚類相調査報告(PDF:2,876KB)(井上信夫 協力研究員/生物多様性保全ネットワーク新潟)
景観的特性
上堰潟公園は自然豊かな都市公園であり、園内では春にはサクラや菜の花、夏にはヒマワリ、秋にはコスモスなどの四季折々の花や、晴れた日には、潟に角田山が映り「逆さ角田」が楽しめます。また、水辺を間近に感じられ、潟の中を横断できる木道があります。秋には、2009(平成21)年から武蔵野美術大学(東京都小平市)の学生と市民ボランティアとの協働制作による「わらアート」作品が公園内に設置されます。
上堰潟に関する諸活動
上堰潟周辺の耕地整理が実施される昭和30 年代以前の様子は、春になると、雪解け水がたまり始めて、4月には見渡す限りの現在の田んぼが一面、水面下になりました。上堰潟周辺の集落はどの家にも「田舟」と呼ばれる農作業用の舟がありました。角田山の裾あたりの耕地に作業に出かけるときには、舟にのって作業に出かけるなど、移動用としても使いました。当時の子どもたちは、潟での遊びに加え、自然と舟のこぎ方を身に着けたといいます。
現在では、その子どもたちが大人になり、「上堰潟田舟の会」を結成。地元小学生に乗船してもらう機会の提供を通し、上堰潟についての理解を深める活動を行っています。
基本データ
面積:約11ha
水面標高:T.P.+3.5m
水源:河川
潟(湖沼)のタイプ:人造湖(かつて水面標高T.P.+6m 程度であったが、排水路の掘削により水位低下で陸化したところを水面標高T.P.+3.5m 程度まで掘り下げて造られた池)
その他:新潟市指定天然記念物(昭和49年3月23日旧巻町指定)
所在地
新潟市西蒲区松野尾(上堰潟公園)
交通アクセス
【車】
●北陸自動車道巻潟東インターチェンジから一般国道460号経由約20分
●新潟市街地方面から一般国道116号明田(みょうでん)交差点から県道46号経由約15分
●一般国道402号シーサイドラインから角田浜地区三叉路経由約10分
駐車場
上堰潟公園駐車場
●第一駐車場 112台(普通車106台、軽自動車2台、大型バス4台)
●第二駐車場 100台程度
関連施設
●休憩所(ログハウス)
上堰潟ガイドブック完成しました
十二潟、じゅんさい池に続く、3冊目となる上堰潟ガイドブックを作成しました。上堰潟に関する地形や生きもの、伝承や周辺の街道と史跡について専門家の調査結果をまとめました。潟への理解と愛着を深める本ガイドブックを是非、ご覧になってください。